はじめてのフルマラソン


1996年4月 かすみがうらフルマラソン

スタート
はじめてのフルマラソンです。期待と不安。いや不安だけ。スタート地点での
人の多さにびっくりです。マラソンといえば10Km以上走ったことないのに・・・。
なんで私はここにいるの?でもちょっとだけ「どこまで走れるだろうか」と
挑戦してみたくもなっていました。「ど〜ん!」と花火が鳴ります。
歓声が大きくなり人のかたまりが動きだしました。「よし!15Kmまでは
行こう!」と心に決めのろのろと走りだしたのです。

10Km地点
遠くに「10Km」の看板が見えてきました。通過して「ここからは距離の
新記録だ」と少し嬉しくなりました。今考えるとなんて無謀な参加だったと
反省。しばらくするとお腹が空いてきました。数年前に捻挫した足首が
痛みだします。でも、まだ走れる!行ける!距離の新記録を更新しよう!
「がんばれ!」みんな応援してくれます。それにしてもお腹すきました。
確かエードステーションにはバナナがあると聞いていたので待ち遠しくて
それだけのために走っていたのかもしれません。

15Km地点
このあたりになると前に一人しか走っている人が見えません。
お腹のすき方は異常で、なんでもいいから口に入れたくなります。
そんなとき前を走っていた男性が畑に入っていきます。どうしたんだろう?
するとその男性が「何、食ってるんすか〜?」と畑仕事で休憩している
夫婦らしき人に近づいていきました。ご主人が「おぉ!がんばってるな。
食ってくか?」。走ってる男性は「はい!」と元気よく答えます。その時
私は、無意識に「あ゙〜〜私にも・・・・・ください!!!」と畑に入っていた
のでした。大学芋をいただきました。なんか人のあたたかさに感動して
涙が出そうでした。
民家が増えてきました。家の入り口にいすを出して座って旗をふってる
おばあちゃん。足をひきずっていると「湿布はってあげるよ」と声をかけて
くれるあかあさん。マラソンは辛いけど幸せな気持ちになるんだな〜と
感じた瞬間でした。


20Km地点
20Kmの看板が見えた頃には右足首が痛くて止まってしまいたくなり
ます。だけど先にエードステーションが見えます。「あそこまで!」
エードステーションにはバナナとチョコレートがたくさん!狂ったように
食べました。手にバナナとチョコをもって走ろうとしたら足は走れなく
なっていました。歩いても1歩1歩が精一杯です。
「フルマラソンは私には、無理なんだ・・・」最初は15Kmまでと思って
いたのに、いつのまにか最後まで行く気になってたようです。無理に
決まってるのに。


25Km手前
ここでは前後に誰もいなくなりました。大会に参加している事を忘れそう
です。でも応援してくれる人々がたくさんいるおかげで気持ちだけは
前に進もうと思います。
後から「乗りますか?」と女性の声。収容者でした。そしてすみやかに
乗ったのでした・・・・・・。
車の中は私一人きりでいただいたバナナとポカリスエットを一気しました。
それからは、次々と手を上げる人が増えあっという間に収容者いっぱいに
なりました。みなさんそれぞれ収容者に乗るまでのいきさつを話しだし
ました。一人一人にドラマがあるんだな〜と感じました。

会場にて
とにかく辛かったです。もう2度とやりたくないとも思いました。だけど
「来年は絶対ゴールしてやる!」という気持ちの方が大きかったのです。
応援してくれた民家の人が頭に浮かんで「また出よう」と思ったのです。
完走は出来なかったけどたくさんの人に「ありがとう」という気持ちで
いっぱいでした。

その後
1週間は、まともに歩けませんでした・・・・・・。




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